イラスト:マツモトヨーコ
厚生労働省の発表によれば、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性は81.64歳と、前の年から女性が0.3歳、男性は0.22歳も延びたそうです。それだけに長い「老後」をどう過ごすかは社会全体として大きな課題になっています。歳を重ねたら年相応に落ち着いた、大人のふるまいが理想? でも「私は私の道を行く!」と考える方もきっと多いはず。会社員の葉山加代子さん(仮名・56歳)の場合は…

若い頃から、年季の入った収集癖

「ガキおばさん」

亡き母が呆れ果てて、私に付けたあだ名だ。

昔から過保護気味に育てられ、我ながら頭の中身が子どものままできてしまったように思う。独身で50代半ばまで実家暮らしだったので、給料を丸々趣味に使えたのもまずかったのだろう。

年甲斐もなく、いまだにやめられないのは、ゲームセンターのクレーンゲーム。景品が目当てだ。

もともと何かしら集めるのが趣味だった。10代では漫画と小説、20代ではアニメグッズやフィギュアを、30代から40代で映画やゲームのキャラクターグッズが加わり、50代でついにゲームセンターの景品にまで手を出すようになった。

いま私の部屋は……テーブル、棚、プリンターの上にアニメキャラクターのフィギュアや洋画もののグッズが雑多に並び、ソファーとベッドの上にはぬいぐるみの山。動物や異星人姿のものが多い。一番のお気に入りは、少年漫画に登場する黄色い超生物のキャラクターである。さらに床の上には菓子類が散乱。もちろん、すべてゲーセンで取った景品だ。菓子類はゲーセン限定のデザインや味で、可愛いパッケージも多い。

その時「欲しい」と思ったものが取れるまでねばり、取れたら片っ端から飾るので、統一性がなく、まったくもって落ち着かない部屋になっている。友人が遊びに来た時には「捨てなさい!」と言われたし、メールで送った写真を見た人からは、あまりの異様さに「呪われそう」とまで言われた。