松本まりかさん(撮影:本社・中島正晶)
2000年にドラマ『六番目の小夜子』で女優デビュー、2018年『ホリデイラブ』の夫を誘惑する井筒里奈役で、一気にファンを増やし『それでも愛を誓いますか?』『最高のオバハン中島ハルコ』などの話題作に次々と出演、活躍の場を広げている松本まりかさん。2021年12月16日からAmazon Prime Videoで配信中の80年代映画界の内幕を描いた映画『雨に叫べば』で、エロス映画を撮る新人監督を演じます。松本さんには監督の花子を重ね合わせたという幼少期、多忙な今だからこそ求めている「繋がり」について、率直な言葉で語っていただきました。 (構成◎岡宗真由子 撮影◎本社・中島正晶)

楽しくて、まるでご褒美のような役柄

ちょうどこの話をいただいたのが『向こうの果て』というドラマの撮影の最中でした。『向こうの果て』は辛い生い立ちの女性の悲劇的な人生を描いている作品だったので、演じることが素晴らしい体験であると同時に、産みの苦しみがありました。『雨に叫べば』は、『向こうの果て』と同じく80年代が舞台ですが、ポップでコミカルな作品。私の演じる女監督・花子も男社会を強く逞しく生きています。『向こうの果て』で「死」と「諦めの境地」へと転がり落ちていった女性の世界に身も心も浸り切っていた私に、花子は「生きる」という方向に貪欲に向かっていく姿を通して希望を感じさせてくれました。

どちらも弱くて…そして強い女性なのですが、方向性が全く違う。そして『雨に叫べば』に登場する花子を取り巻くキャラクターは、それぞれに人間味があって愛すべき存在です。『向こうの果て』の撮影中、「この後は花子を演じられる!」、そのことを楽しみに頑張っていたところがあるかもしれません。

花子は内田英治監督自身がモデルで、とにかく冒頭からとことんイジメられてます(笑)。プロデューサーにはお金やポルノ表現のことで責め立てられ、俳優にはワガママを言われ、助監督、音響さん、大道具さんに突き上げられる。それぞれがそれぞれのやり方で歯向かってくるのに対峙していく演技というのは、楽しくて楽しくて。私にとってはご褒美を頂いたような役柄でした。

「『雨に叫べば』に登場するキャラクターは、それぞれに人間味があって愛すべき存在です」