この記事の目次
子宮筋腫とは 〈原因〉女性ホルモンによって大きくなる 〈分類〉できる場所により分けられる 〈症状〉不妊症や流早産の原因にも 〈診断〉手術を考える場合にはMRI検査も
〈治療〉薬物療法と手術療法がある

〈治療〉薬物療法と手術療法がある

筋腫はあくまで良性の病気です。がんなどの悪性腫瘍と違い、小さくて無症状の場合は治療の必要はありません。治療法には大別して薬物療法と手術療法があり、手術を希望されない方や受けられない方には子宮を栄養する血管をつめてしまう治療法(子宮動脈塞栓術)や高出力の超音波装置で筋腫を焼く集束超音波治療(保険には未収載)もあり、年齢や症状、妊娠・出産の希望の有無などで多くの治療法から選択していきます。

まず薬物療法ですが、子宮筋腫を根本的に治す薬は、今のところありません。でも薬で子宮筋腫を小さくしたり、出血や疼痛などの症状を軽くすることができます。薬物療法としてはまず月経を止める治療(偽閉経療法)が挙げられ、毎日の飲み薬と点鼻薬(鼻からのスプレー剤)、そして4週間に1回の注射薬の3種類があります。

この治療では女性ホルモンの分泌が少なくなるので更年期のような症状が出たり、骨量(カルシウム)が減少するおそれがあるため長期(半年以上)の投与はできません。また、治療初期には不規則な出血を認めることもあります。治療中は子宮筋腫が半分近くまで小さくなりますが、治療を中止すると元の大きさに戻るのが普通です。このような理由から、薬による治療は、手術前の一時的な使用や、閉経が近い年齢の方などの一時的治療として行われることが多いようです。

そのほか、ピル(経口避妊薬)を服用することもあります。特に女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくならず、症状も楽になることがあります。

一方、手術療法には子宮ごと取ってしまう(子宮全摘術)方法と筋腫だけ取る方法(筋腫核出術)があります。将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫だけ取る手術を実施しますが、手術の際、出血が多くなるのが難点です。また、小さな筋腫が取り残される可能性があり、数年後に子宮筋腫が再発してくることもあります。

一方、子宮全摘出術は、再発や将来子宮がんを生じるリスクがなくなるメリットがあります。十分に主治医と相談して手術方法を決めていきましょう。また最近、腹腔鏡を使って手術行う施設も増えてきており、子宮摘出術も筋腫核出術も対応可能ですが、筋腫の大きさやできた部位、数によって腹腔鏡での手術が難しい筋腫もあります。腹腔鏡手術は傷も小さく回復が早いのが利点ですが、特有の技術が必要なので技術認定を受けた医師に任せたほうが安心です。
技術認定医は日本産科婦人科内視鏡学会のホームページに名簿が記載されています。

子宮筋腫の治療法