「今、1年がかりでドビュッシーの《月の光》に取り組んでいて、8割ほど弾けるようになりました」(撮影:浅井佳代子)

 

現在発売中の『婦人公論』2022年9月号の表紙は、女優の原田美枝子さん。放映中のNHKの朝ドラ『ちむどんどん』では、主人公暢子の親戚として、また暢子が勤めるイタリア料理店のオーナーとして、厳しくも温かい女性・房子を演じて話題に。映画の役作りのためにピアノを習い始めたという原田さん。基礎から進めるには時間が足りないため、やりたい曲を教えてもらうことにしたそうで──。本誌から、特別に記事を先行公開いたします。
(撮影=浅井佳代子 構成=篠藤ゆり)

母親も一人の女性であり人生がある

2年前、認知症の母を撮影した短篇ドキュメンタリー映画『女優 原田ヒサ子』を発表しました。

それを観た川村元気監督が声をかけてくださって出演したのが、映画『百花』です。

私が演じるのは、ピアノ教師をしながらシングルマザーとして息子を育ててきた女性。認知症になりいろいろなことを忘れていくなかで、心の奥底の記憶が表面化していきます。

この物語では、母親も一人の女性であり人生がある、ということが描かれている。それが面白いと思います。