貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第21回は「経済格差を産むのは、経験か学歴か」です。
優位性を本人が自覚することは難しい
先日、「学歴中心の履歴書から経験中心の履歴書へ」というワードが大きな話題となった。
上記のワードは、「若者の格差社会をなくすためには」というテーマで4人のコメンテーターが解決策を提案した中で、平原依文さんという起業家の方が提案したものだという。
「学歴社会こそが経済格差の原因であると思います。だからこそ、人を評価する判断基準は学歴ではなく、その人個人が持つ唯一無二の経験。いつからでも、自分の頑張り次第で結果も生み出せて、収入格差がなくなると思います」
と平原さんは発言した。
格差を無くすためには、親の所得が高いほど有利になる学歴より、経験重視にしたほうがいいという主旨だったようだが、「経験こそお金があるほうが有利」だと反感を買った。
平原さんが8歳から中国、カナダ、メキシコ、スペインに留学という経歴の持ち主で、まさに「経歴をお金で買う」を地で行っているように見える人だったことも、火に油を注いだようだ。(もちろんご本人の努力も大きいだろうが)
平原さんに限ったことではなく、テレビで取り上げられる起業家やインフルエンサーは、幼い頃から親に様々な投資をしてもらった(それが無自覚だとしても)、いわゆる実家が太い勢が多いのは事実だ。
また、生まれ育った時から恵まれた環境が当たり前であるがゆえに、自分の特異性や優位性を本人が自覚することはなかなか難しい。
一般からすると生まれ育った環境で巨大なアドバンテージを持っていても、それに本人が気付かないゆえに、自分の努力でその立場にたどり着いたと錯覚しやすかったりする。
これはだれでも陥りやすい。