イラスト:みずうちさとみ
2022年10月18日の『徹子の部屋』に、内館牧子さんが親友の吉永みち子さんとともに出演。30年来の友情を語ります。老年期に関する『終わった人』などのシリーズが映画や舞台になるなど、活躍し続ける内館さんが、女性の老いや自らの病を語った『婦人公論』2021年7月13日号の記事を再配信します。


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舘ひろしさんの主演で映画化され、話題になった『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』など、老年期に関する話題作を発表している内館牧子さん。山あり谷ありの日々を必死に過ごし、13年前からは病気とのつき合いも増え、気づけば老年期はすぐそこに──。年を重ねた女性のこれからの生き方を、内館さんはどう考えているのでしょうか。

死ぬ日を指折り数えて待つ

私の知人に、年がら年中「死にたい。生きている意味がない」と嘆く人がいる。

朝早く、週に一度は彼女からメールが届く。

「死ぬ日を指折り数えて待っています。いつ死ねるのかしら。自殺すると周囲に迷惑がかかるけど、もう自殺してもいいとさえ思う。人間、死亡適齢期ってあるのよ。人生100年と言われるけど、意味なく呼吸だけする日が続くのよね」

毎回毎回、こういう内容である。

幾人かの友人は、彼女から離れた。

「あんなネガティブな人とつきあうと、それが伝染る。冗談じゃないわ」

ポジティブとかネガティブという言葉が一般的になって久しいが、かつては写真界や編集界、印刷界等々の専門用語だったのではないか。撮影した被写体が、目で見た色や明るさのままに写っているのが「ポジ」。「ネガ」は色や明るさが、実際の被写体と逆になっている画像だ。私が企業で社内報の編集をしていた昭和40年代半ばには、まだポジを「陽画」、ネガを「陰画」と呼ぶ言葉が残っていた。