「不純さの中で、初めて人間は大人になるのに、日本人はそういう教育を全く行ってこなかった」と手厳しく指摘するのは、自身の経験にもとづき、世間へ問題提起を続けてきた作家・曽野綾子さんです。曽野さんはボランティアとして海外に足を運ぶなかで、現在の日本の社会や教育、閉塞状況に危機感を強めていたそう。その曽野さんいわく「日本人が幼児化したことが様々な問題を招いている」とのことで――。
日本人の幼児化
教育改革国民会議に出ていると、今の生々しい教育の現状を聞かされるので、非常に新鮮な解答にたどり着くことがある。
日本の教育が予想以上に腐敗(ふはい)と荒廃(こうはい)の度合いを深めているということは、よく言われているが、病状が進んでいるのは何も学生だけではなくて、社会人も、父母も、皆が「おかしくなっている」と言う。
もちろん、すべての人々は素質も育ちも、受けた教育も環境も違うわけだから、原因の共通項はなかなか見つけにくい。
しかし、ないわけではない。それは日本人の幼児化ということだ、と専門家は指摘する。