大学で事務を行う「大学職員」は人気の職業であり、「年収1000万円以上で仕事も楽」という噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「その内情は当然ながら、実に多種多様です」と語るのは、元大学職員で追手門学院大学客員教授の倉部史記先生。その倉部先生は大学職員について「業務は間違いなく今より大変になっていきますが、待遇が今以上に良くなる見込みはあまりない」と言いますが――。
年収1000万は本当?
「有力私大の職員なら、誰でも40代で年収1000万超え!」というのは、大学職員の仕事を紹介するブログやSNSなどでしばしば見かける表現です。こうしたブログの大半は、現役大学職員を名乗る個人によって運営されています(失礼な表現ですみません、でもご本人のご所属や本名を存じ上げないので、こう表記するしかないのです)。
さらに言えばこうしたブログやSNSの多くでは、大学職員志望者に対してエントリーシートの添削を勧めたり、転職エージェントサービスへの紹介リンクをアフィリエイト付きで掲載したりしています。
エントリーシートの添削は有料ですし、アフィリエイトが設定されたリンクをユーザーがクリックすれば、ブログの運営者には広告の出稿主からお金が入ります。
別にそれが悪いというわけではないのですが、こうした情報を活用する側は、「商売っ気」のある情報であるという前提を忘れずにおく必要があるでしょう。
多くの方が「大学職員って良いな。このブログでもっと調べよう」と思えば思うほど、こうしたブログ運営者にはお金が集まっていく仕組みなのですから。
その上で、さて「有力私大の職員なら、誰でも40 代で年収1000万超え!」というのは事実なのでしょうか。
答えは「事実ではない」です。正確に言えば、かなりの補足が必要な情報だと言えます。