「医者の不養生」という言葉がありますが、多忙ながらも自らの健康をしっかりと保っている医師が長年続けている習慣があるとしたら、ぜひ知りたいですよね。そこで今回は、冷えとり専門医として温活指導にも注力している統合医療学講座特任教授の川嶋朗先生が行っている健康術を紹介します。川嶋先生いわく「38度の『ぬるい湯』に20分以上は浸かる」そうで――。
38度の「ぬるい湯」に20分以上は浸かる
万病のもとである「冷え」の原因は、生活習慣や周囲の環境など様々にあります。そして、ここ数年、増加の一途を辿(たど)っているのが「ストレスによる冷え」です。
とくに春は新年度を迎え、新しい環境や人間関係の変化に適応していくことが求められますが、中にはそうした過程がストレスとなり、冷えや体の不調となって表れることがあるのです。
ストレスと冷えの関係についてもう少し説明すると、たとえば春先に「寒い」と感じるのもストレスの一種です。
ストレスを感じると交感神経系が「ノルアドレナリン」というホルモンを適度に分泌し、呼吸数や心拍数を上げて体温を上昇させて寒さを凌(しの)ぎます。この反応が適応です。
しかし、ストレスがかかり続けると、血管が収縮した状態が継続してしまい、結果として循環障害を引き起こして体温が低下します。つまり、ストレスが冷えを誘導しているのです。
問題は、冷えがさらに重篤な疾患の原因にもなりうる点です。がんなどの重篤な疾患は、それ自体が心身への大きなストレスになります。
私もストレスを感じない日はありませんが、極力翌日に持ち越さないように努めています。