だるい、眠りが浅い、食欲がない……。もしかしてそれは必要な栄養が足りていないのかもしれません。管理栄養士・森由香子さんに、効率的に栄養素を摂る「食べ合わせ」を聞きました。(構成=島田ゆかり イラスト=田尻真弓)
栄養素が不足すると慢性疲労につながる
人間の体は食べ物から作られています。生きるためのエネルギーを生み出すのも栄養素の力。不足すると体のさまざまな機能が正常に働かなくなり、倦怠感に悩まされることに。
人間に必要な栄養素は約50種類といわれています。代表的なものが、3大栄養素である炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質。これらは60兆個ある細胞のエネルギー源であり、筋肉を動かす、呼吸をする、心臓を動かす、体温を調節する、さらに消化などにも使われます。
そして、そのサポートや微調整を担うのがビタミンやミネラル、食物繊維など。解明されていない未知の栄養素もありますが、どの栄養素も単体で働くことはできません。互いに作用し合って初めて体内で働くため、何かの栄養素が不足すると相互作用のバランスが崩れてしまうのです。
さらに、年齢を重ねると食事の量が減り、消化力も落ち、ほとんどの人は何かしらの栄養不足に陥っています。その結果、あちこちで不調が起こり始めるのです。
たとえばビタミンΒが不足すると慢性疲労を感じ、カリウムが不足すると食欲不振に。炭水化物不足は倦怠感、亜鉛不足は意欲減退、鉄不足は貧血……といった状態です。
また、好きなものばかり食べる人、食事のメニューがいつも同じという人も摂取食品数が少なくなるので、栄養が偏りがち。まんべんなく栄養素を摂るには、「主食、主菜、副菜」が並ぶバランスのよい食事を心がけ、主菜のタンパク質の種類を肉、魚、卵、大豆製品などいろいろ変えること。そして野菜は7色(緑、黄緑、赤、オレンジ、黄、白、紫)を意識して食べるようにすれば、まんべんなく栄養素を摂ることができます。