「食べると体にこもった熱がすーっと引くのを感じて。そうやって体で覚えてきたんですね」(撮影=川上尚見)
いつも溌剌としているジュディ・オングさんの美と健康の源は、薬膳。ふだんの食卓に取り入れられる、シンプルなレシピを教えます(構成=山田真理 撮影=川上尚見)

祖母直伝の「医食同源」

薬膳と聞くと、サルノコシカケをはじめとする漢方生薬(八角、紅花、当帰など)を揃えるのが大変、というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

でも、私が紹介する薬膳食材はふだんスーパーで買えるものがほとんど。調理時間も短く、仕事から帰って「今日はあの料理を食べたいわ」と思って作り始めても苦にならないくらい、簡単なものばかりです。

というのも、私の薬膳の知識は、台湾の翁(おきな)家の日々の食卓で自然に覚えたものだから。祖母から母、そして私へと受け継がれてきた「医食同源」の知識なのです。

中国には「上医治未病」という言葉があります。良いお医者さんは、病気になる前に防ぐという意味。私はこの「医」を、台所を差配する人と考えています。そう、台所にいる人が一番えらいんです!

子どもの頃から台湾の家では、食物の種類や効能を教えられました。「朝食には胃にやさしい野菜のおかゆを食べて、胃腸と肌をキレイにしなさい」とか、吹き出ものができると、「今日は《温》の揚げものは控えて」。私の体質や体調を見て選んでくれていたのです。