ウクライナ侵攻後の結婚事情
しかし、ウクライナ侵攻が始まってから、ウクライナの結婚事情は変わりました。
離婚率はあいかわらず高いのですが、戦争が始まってから、ウクライナの結婚率がぐんと上がったのです。
首都キーウでは、2022年の5か月間で9120件の婚姻届が提出されたと聞きます。その数は2021年と比べて8倍以上も増加したとニュースで報じられました。
結婚が増加したのは、戦時下となり将来が見えない不安から、交際中のカップルたちが「結婚」という形で強い絆(きずな)を結ぼうとした結果だと思います。
その気持ちは、同じウクライナ人として痛いほどわかります。
「恋人が明日、兵役に行くかもしれない。そうしたら二度と会えないかもしれない」
そう思えば、結婚して家族になりたい、と思うのは当然でしょう。
ある日本の方から、こんな話を聞きました。
「日本も戦争をしていた時代は、若い男女が戦争に行く直前に結婚するケースも多かった。今の日本の平和な状況では考えられないが、明日をも知れない命を目の前にすると、純粋に愛する人と一緒になりたい、と思う気持ちが強くなるのでしょう」
日本では今のところ、戦争に巻き込まれる危険性が高い状況ではありません。愛する家族やパートナーと「明日、生きて会えないかもしれない」と想像することもないでしょう。
それはとても幸せなこと。でも、それが当たり前ではないのです。