人間はなぜ運動するのか

そもそも人間はなぜ運動するのでしょうか?

それはズバリ生きるためです。

今でこそ人間は食物連鎖の頂点に位置していますが、長らく天敵だらけの環境を生き抜いてきました。その端的な例が、「眼」です。我々人間の「眼」は天敵であるヘビによって進化してきたと考えられています。

毒ヘビがいる地域の霊長類は、いない地域の霊長類よりも視覚の機能が優れていますし、ヘビを見たことがないサルも、ヘビを認識できることがわかっています。人間を対象とした実験でも、ヘビを見つける能力の方がトカゲを見つける能力よりも高く、しかも短時間で見つけられる、という結果が出ています。

もし森の中で猛毒のヘビに出くわしたら、ヘビから「逃げる」か、ヘビを「追い払う」か、ヘビを「殺す」しかありません。運動が解決への道となります。

待ったなしの危機に直面したら、瞬時に陸上ランナーか、道具を駆使する職人か、格闘家に変身するしか生きる道はありません。「あ、私、運動苦手なんで、そんなのムリっす」なんて言っている人はすぐに静かになるでしょう。

『可能性にアクセスするパフォーマンス医学』(著:二重作拓也/星海社新書)