さいたまスーパーアリーナ(写真提供◎ヒオカさん 以下同)
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第53回は「人生初、生で羽生くんを観た」です。

ついにこのときがやってきた

「厳正なる抽選を行った結果、残念ながら今回はチケットをご用意することができませんでした」

落選、落選、落選、落選……。

羽生くんがプロに転向して、これから生で見られる機会が増える!と思ったが、蓋を開けてみれば単独アイスショーは落選につぐ落選。仕事先の人に会うたび、「Twitter(現X)みましたよ。また落ちてましたね笑」と憐れまれる始末。

単独以外のアイスショーもなかなか予定が合わなかったりして、もう生で羽生くんを見れないんじゃないか?という気さえしていた。しかし先日、『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd "RE_PRAY" TOUR』に2回目の応募をすると、なんと

「厳正なる抽選を行った結果、お客様はご当選されました」

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお。つ、ついにこのときがやってきた。羽生くんを生で見られる!メールを何度も確認し、ショーの前日にやっとスマホにチケットが表示されても、まだ、これは夢なんじゃないか?という気がしていた。今日眠れるかな?明日会場までたどり着けるかな?途中で事故らないかな?生きて帰れるかな?前日はソワソワして不安で仕方がなかった。