お母さんたちも、一日中、子どもと過ごしているとストレスがたまるし、どんどん孤独になっていくでしょう。私も六十数年前、縁もゆかりもない大阪に出てきたときは相談相手がいなくて苦しかったから、その気持ちが痛いほどわかるの。だから、せめてここでは、人の温もりを感じながら、のんびりと息抜きしてほしいんです。
最初は、居間を改装して、喫茶店にすることも考えました。コーヒーを飲みながらおしゃべりできる空間なら、お母さんが買い物に行く間、お子さんを預かることもできる。でも、お店にするとお代をいただかなくちゃいけないでしょう。それは嫌だなあと。
いっそ私の大好きな絵本の文庫にして、完全無料でいつでも寛いでもらえる場所にしたらどうだろう。そう思ったら、何だかとてもワクワクしてすぐに行動に移しました。
夫が亡くなって反対する人もいなかったし、2人の娘も「お母さんの好きなようにしたらいい」と賛成してくれたから。でもね、最初は人を招くために、せめて喫茶店風にリフォームするつもりだったの。
ところが、建築家の先生に相談したら、「いやいや、このままがいい。こんな感じのところはほかにないよ」とおっしゃって。「ほんまかいな?」と思ったけれど(笑)、ご覧の通り、そのまんま始めて今に至ります。