石川さん(右上)が、中学の同級生との旅行で企画した「舞妓ちゃんになろう」がついに実現した(写真提供◎石川さん)

「50年後の修学旅行」を楽しんだ

年が明けて1月になれば、私も66歳です。健康面で心がけていることもなく、運動も「やらなきゃ」と思うだけのナマケモノ(笑)。声は出していないと不安になるので、目が覚めると布団のなかで「ああああー」と低い声から高い声まで出してみて、「あ、今日もちゃんと出る」と確認するのが一日の始まり。

わが家は弟家族が隣にいるいわゆる二世帯で、同居する母は90歳になりました。おかげさまで元気なのですが、数ヵ月前に転んで腕を骨折し、少し気弱になっているみたい。暮れの27日に自宅で行う恒例のお餅つきも、今年は中止にしました。内臓疾患じゃないのだから「ちょっとは動きましょうね」と思うのだけど、90歳の母の気持ちもわかります。

今年、家からそう遠くない温泉宿へ泊まって、お風呂から満開の桜を一緒に見たんですが、先日、「またあそこに行きたいね」と母が言ってくれたときは嬉しかった。「そうよ、来年の春も絶対また行きましょうね」と、気力のエンジンを一所懸命かけているところです。

旅は心を元気にしますよね。今年の夏には、中学時代の仲良し4人組で京都へ「50年後の修学旅行」に出かけました。50周年コンサートにきてくれたとき、「そういえば私たち、来年になると中学卒業から50年経つのね」という話になって、計画を練ることにしたのです。

旅程は、中学時代と同じ2泊3日。金閣寺や東寺など訪れる場所も当時のままにしましたが、ひとつだけ違うのが私が提案した「舞妓ちゃんになろう」。

最初はみんな「えー、恥ずかしい」と尻込みしたので、「考えてごらんなさい。夫といるときに舞妓姿になっても『お前なに考えてんだ』と呆れられるし、旅先で何時間もつきあってくれるわけないのよ。こんなこと楽しめる相手はこのメンバーしかいない!」と説得しました。蓋を開けたら当日は全員ノリノリ(笑)。写真もいっぱい撮りました。

町家の宿では4人、お布団で雑魚寝。みんないい歳ですから、朝起きると布団のうえでそれぞれ体操を始めるのがおかしくてね。そんな姿もカメラに収めました。子育てや仕事が一段落した友人たちは元気いっぱい。負けていられないわ、とスマホのなかの「4人の舞妓ちゃん」を見ていると元気が湧いてきます。


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