「本当にすみませんでした」そうやって頭を下げる

こういうとき、派遣は相手が間違っていようと、とにかくまず先に謝るしかない。そうやって相手の気が済むのをじっと待つ。

混乱する現場で、慌ただしく時間が過ぎ、もうすぐ退勤時間という時だった。朝挨拶した責任者が、店長と何やら話している。どうやら、別添えのイチゴがひとつ余っており、渡し忘れたお客さんがいるというのだ。

私がケーキを持って行ったとき、一緒に付けるのを忘れてしまったらしい。そのせいで、責任者がいまからお客さんのところへ、謝罪とイチゴを届けに車で向かうというのだ。

私はいたたまれなくなり、責任者のところに謝りにいった。「本当にすみませんでした」と頭を下げる。

すると、責任者は「いや、毎年いろんなことがあります。今年は少なかったほうです。よく頑張ってくれました。日報にサインが必要ですよね?お客さんのところに行く前にサインしちゃいますね」と、穏やかに、とても優しく言った。朝挨拶に行ったときは無言で、すごく気難しそうな人に見えたのに。