筆者の関容子さん(右)と

篠田さんの民藝出演二作目は『SOETSU―韓(から)くにの白き太陽―』(16年)で、いきなり主演の柳宗悦(やなぎむねよし)。次が『闇にさらわれて』(19年)のアレン卿で、この三作目の後、正式に民藝青山事務所に所属する。

丹野さんによると、「一緒に芝居を創っていくうえで大切なことは、一にも二にもそのお人柄。三度の客演を通じて劇団員みんなが篠田さんに馴染んでいたので、これからもずっと一緒に」と思ったそうだ。所属の挨拶状は当時の劇団代表・奈良岡朋子の名前で出された。

――本当にありがたいことで、途中から参加したのでお荷物にならないように努力します。

民藝四作目、井上ひさしさん作の『ある八重子物語』(20年)では、以前新派では菅原謙次さんがなさった役を演らせていただきまして、この芝居で2023年暮れから24年2月にかけて各地を巡演するんです。

先日まで上演していた『ローズのジレンマ』では、樫山文枝さん演じるローズの亡き恋人/パートナー役。幽霊ですが、しばしば出て来てローズと会話する。劇中にローズの「いいわね、生きてるって」という台詞があって、これがテーマだと思うんですよね。

まぁ自分はちょっと元気のいい幽霊だったんですけど(笑)、でもローズが思い出すなかで元気な時のなつかしい恋人ウォルシュでいいかな、と想像して演じてました。とにかく、基礎訓練を積んだ方々の中で演じられることはとっても楽しいことです。これから先もまだまだ頑張りたいと思います。

 

本当に、篠田さんにとっての最高の場所に着地なさったようで、良かったですね。