家族を支えるという仕事
だからそうした家族には時間を使って、真正面から付き合う。待合室が激混みのときは、後日ゆっくり話そうと別の日に来てもらう。
そこで誠実に家族に向き合えば、ぼくが言ったことが100%正解ではなくても、家族にとって何かのヒントにはなったりしているように見える。かかりつけ医は、家族の悩みに答えなくてはならないということを、ぼくは何年もかかって学んでいった。
「家族を支える」というのは、小児クリニックでも大人のクリニックでも同じく大事なことだろう。
逆に言えば、「診療」だけをしている医者は、いいかかりつけとは言えない。患者が医者を選ぶときに見きわめるポイントはその辺にあるのではないだろうか。
※本稿は、『開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです
『開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(著:松永正訓/中公新書ラクレ)
クリニックはどうやってどう作るの? お金をどう工面しているの? 収入は? どんな生活をしているの? 患者と患者家族に思うことは? 上から目線の大学病院にイライラするときとは? 看護師さんに何を求めているの? 診察しながら何を考えているの? ワケあって開業医になりましたが、開業医って大変です。開業医のリアルと本音を包み隠さず明かします。開業医の正体がわかれば、良い医者を見つける手掛かりになるはずです。