和田先生「すでに自立した人間なのだから、放っておけばいい」(写真提供:Photo AC)
内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上のひとり暮らしの人口に占める割合は、令和2年には男性15%、女性約22%と年々増加傾向にあるのだとか。そのようななか、6000人の死に立ちあってきた高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生が語る「ほんとうに幸せな暮らしかた」とは。和田先生は、「ストレスをため込むと、老化が早く進みます」と言っていて――。

親子の関係

健康で長生きしたいと思ったら、現代社会では人間関係のストレスを減らすことは欠かせない要素です。ストレスをため込むと、老化が早く進みます。

ここで、普段見逃しがちな「親子の関係」について考えてみましょう。

普通、人間関係というと社会的なつながりを重視することが多いと思いますが、親子関係も立派な人間関係です。しかも、これがストレスの素になっているケースが多い。

60歳ともなれば、子どもはすでに独り立ちしていることと思います。

子どもが独り立ちするまでの面倒を看るのは親の責任でしょう。しかし、それ以後の関係は、また新たな関係として捉え直すことを私はおすすめしています。

独り立ちとは、巣立ちのことです。動物の世界では、巣立ちをした子どもと親は行動をともにしません。

人間の世界でも、親の責任をまっとうしたら、子どもとはくっついていないほうがいいのです。