演劇の世界で時代を切り拓き、第一線を走り続ける名優たち。その人生に訪れた「3つの転機」とは――。半世紀にわたり彼らの仕事を見つめ、綴ってきた、エッセイストの関容子が聞く。第26回は俳優の風間杜夫さん。内気で恥ずかしがり屋だったという風間さん。引っ込み思案が直るようにと、児童劇団に入ることになったそうで――。(撮影=岡本隆史)
引っ込み思案が直るかなと
風間杜夫さんほど芸域の広い俳優を他に知らない。まず名子役。長じて舞台俳優。それも多岐にわたり、つかこうへい、唐十郎からアーサー・ミラー、森本薫、有吉佐和子作品など。
映画、テレビドラマで活躍したと思えば、次は一人芝居。そして噺家としてもちゃんと高座がつとまるプロ級。近頃は何とミュージカルにまでレパートリーを広げて……。
そんな風間さんも、子供の頃は内気で恥ずかしがり屋だったという。
――そうです。僕は東京・世田谷の上馬の生まれ。後でお袋から聞いた話では、僕の友達のお母さんが、「お宅の息子さん、児童劇団とかに入れたら引っ込み思案が直るんじゃない?」って。
お袋も同感したらしくて、小学校2年の時に、「東童」という日本で一番古い児童劇団に入れられたんです。ここは大人の俳優もたくさんいるんですけどね。
後から聞いたんですけど、小林旭さんも子供の頃にそこにいたんですって。