「自分が演じるのは誰なのだろうと思いながら読んでいたところ、ピンと来たのが吉宗でした。堂々として凜々しいキャラクターが、冨永のイメージと重なるんじゃないか、と(笑)」(写真提供:冨永愛さん)
夢を叶え、昨年は躍進の年となった冨永愛さん。15歳でモデルデビューしてから「ずっと強運だった」と語りますが、その裏には強い信念と準備を怠らない姿勢がありました(構成:丸山あかね 写真提供:冨永愛さん)

思い切って公言してハマり役をもらえた

2023年は、NHKドラマ『大奥』で徳川吉宗を演じ、念願だった時代劇デビューを果たすことができました。昔から時代小説が好きだったんです。10代の時に家族で会津へ旅行した際、白虎隊の歴史を知り、興味を覚えたのがきっかけでした。

本格的にハマったのはモデルになってから。パリコレなど海外での仕事を通じて、さまざまな国の人たちと接するうちに、誰もが自国の文化をしっかりと理解して、盛んに発信していることに衝撃を受けたのです。

それで私も学ばねばと思い、時代小説や歴史小説を読むように。はじめは自分の生まれた国にどんな歴史があるのかを知るためでしたが、次第にのめり込み、自分も時代劇に出たいという夢を抱くようになりました。

そんな胸に秘めた思いを、22年の1月に放映された『日曜日の初耳学』(毎日放送/TBS系)という番組に出演した際、初めて公の場で言葉にしたのです。「時代劇に出たい」って。それをドラマ『大奥』の脚本家がたまたま観てくださっていて、出演依頼をいただきました。

その時点ではどの役を演じるか伝えられていませんでしたが、ドラマの原作であるよしながふみさんの漫画を読み始めると、これがとにかく面白くて。

漫画『大奥』は、江戸時代を舞台に三代将軍・徳川家光の時代から幕末・明治維新までを、男女の役割が逆転しているという設定で描いたファンタジー時代劇。自分が演じるのは誰なのだろうと思いながら読んでいたところ、ピンと来たのが吉宗でした。堂々として凜々しいキャラクターが、冨永のイメージと重なるんじゃないか、と(笑)。

けれど、吉宗は主役級の活躍ぶり。俳優経験の少ない自分に、こんな大役がくるはずはないという思いもありました。だから、本当に吉宗役が決まった時は、思わずガッツポーズです。同時に大きなプレッシャーも押し寄せてきて、これは大変なことになったぞ、と一気に緊張感が高まりました。