まひろが「藤原*子」と名乗る可能性も

以上、氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク』のヒロイン、はっちゃけた瑠璃姫の名にも、ちゃんとした根拠があるわけだ。

ちなみに氷室さんは愛宮という名がお気に入りだった、というのはご本人から直接伺った話。

「女房三十六歌仙図画帖」より紫式部 斎宮歴史博物館提供

そして『光る君へ』の「まひろ」もこのタイプの名前だと思う。

彼女が藤原彰子の元に就職したとき、公的な立場を得たら、藤原*子と名乗る可能性もある。中宮の女房を私的な使用人とするなら、*子型の公的な名前は名乗らないまま、まひろ、通称「紫式部」で行くのかもしれないが。

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