最低ラインは四股を1000回
耐える練習については、九重親方(元大関・千代大海)も、同じようなことを話していました。以下にご紹介します。
九重親方:「力士の基本は“四股(しこ)”だと言われます。『四股なんて踏んでも強くならないだろ』と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
工藤さんがやった100メートルダッシュと同じで、土台ができるんです。他の部屋では、だいたい200回くらい。よく踏む部屋でも300回くらいです。でも、うちは最低ラインが1000回なんです。一日1000回。
よく『強くなりたけりゃ人の3倍や5倍の努力をしろ』って言われますよね。理屈ではわかるんですけど、本当に実践する人は少ないです。だけど、うちの師匠(※先代の九重親方/元横綱・千代の富士)は『それを地でやってみろ』と言う。たとえば、こんなことがありました。
『先場所、お前が負けた相手を考えてみろ。あいつは四股を何回踏んでた?』
『わかりません。調べてみます』と言って、こっそり相手に探りを入れます。『師匠、あいつは100回でした』と、自信満々に言うと、こう返してくるんです」