千代の富士の腕立て伏せで、部屋の畳が擦り切れる
九重親方:「『じゃあ、なんでお前は1000回踏んでるのに負けるんだ? 踏み方一つに気持ちが入っていないからじゃないか? 1000回の時間を無駄に過ごした、お前の愚かさこそが、負けた原因なんじゃないのか?』と、師匠(先代の九重親方/元横綱・千代の富士)に言われました。
腕立て伏せもそうです。師匠は1000回、2000回、3000回とやったそうです。俺らが胸を張って『500回やりました』と言うと、『馬鹿野郎。それで足りてると思ってるのか?』と。
ホームランの世界記録を打ち立てた王貞治さんは、部屋で畳が擦り切れるほど素振りをして、一本足打法を完成させたという逸話がありますよね。じつは相撲界、というか、うちの部屋にも伝説があるんです。
『千代の富士が腕立て伏せをするから、九重部屋の畳は1か月もしないうちに擦り切れる』と。師匠はその当人ですからね。俺にこう言うんです。
『大広間は40畳も50畳もあるぞ。どの畳もつるつるで、きれいだな。お前たち、どういう生活してるんだ。畳がボロボロになるくらい、ふだんの生活も、寝ているときまで相撲のことを考えた“相撲漬け”の生活をしてみろよ。そしたら自然に強くなっていくから』と」(以上、九重親方)