舞台で笠置シヅ子役をパワフルに演じた神野さん(写真提供◎TOI LA VIE〈トワラヴィ〉)
朝ドラで話題の笠置シヅ子さん役として音楽劇『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』の主演を務めた神野美伽さん。『ブギウギ』も後半を迎え、羽鳥に引退をほのめかしたスズ子は「歌をやめることは今までの歌を葬り去ること。君は死ぬまで歌手なんだ。歌をやめるなら絶縁する」と宣言されます。「歌手としてのケジメのつけ方」を現役歌手の神野さんが綴ります

前回「神野美伽「笠置シヅ子さんから江利チエミさん、そして私へ。脈々と受け継がれる歌のDNA。大切に歌っていきたい」」はこちら

「歌うということ」を生業にして40年

気づけば、自分の一番好きなこと、(おそらく) 一番得意だと考えられる「歌うということ」を生業に生きて来て、すでに40年の月日が流れました。

アッという間と言えばアッという間ですが、一つ一つゆっくりとひも解いてみると、喜怒哀楽、見事なほどに色々なことを経験させていただけた時間だったと思います。

そんな幸せな時間も当然永遠ではなく、いつかそこから離れなければならない時が来ます。若い頃は40年歌を歌い続けるなんてことは想像すら出来ませんでしたが、今その歌ってきた人生の終い方なるものを何となく考えるようになりました。 

先輩方の中には80代になられても、まだまだお元気に歌手としての人生を送っておられる方もいらっしゃいます。しかしそれはどの歌手にでもできることではなく、身体的、精神的に並大抵のことではありません。