歌詞を思い出してメロディーに乗せて歌うとき、脳はほどよく活性化するのでウトウトしません(写真提供:Photo AC)
交通事故死より多い入浴中に亡くなる高齢者の数。令和3年の厚生労働省「人口動態調査」によると、入浴中に溺れて亡くなった65歳以上の高齢者は約5000人。鼻と口が湯に浸かっても目覚めなかったり、動けなかったりすると、私たちは数分で窒息して、あっけなく命を落としてしまうと言います。声とのどの専門医・渡邊雄介先生は語ります。「そこで、のどの筋トレを兼ねた風呂カラオケをおすすめします」。「入浴中にウトウトしてしまう」「最近つまずきやすい」「食事中によくムセる」。ひとつでも思い当たる方は、風呂カラオケの始めどきです。

昭和の日本レコード大賞曲や懐メロの人気曲、童謡・唱歌がおすすめ

突然ですが、お風呂で歌ったことが一度もないかた、いらっしゃいますか?

人前では恥ずかしくて歌えなくても、お風呂ではつい鼻歌が出ませんか?

「好きな歌を3曲歌い終えたあとは、歌が得意な人もそうではない人も唾液の量が増え、ストレスホルモンが減っていた」という報告があります。

湯気の立ちのぼる温かい浴室は、湿気でのどがうるおって負担がかかりにくいので、のどの筋肉のトレーニングに最高の環境です。

無理なくいい声が出るし、四方が硬くなめらかな壁なので、音もよく響きます。

お湯に浸かって好きな歌を歌うと、とてもうまく歌える。のど筋の衰えを食い止めるのに、こんなに楽しいトレーニングはありません。

では、その方法をご紹介しましょう。

・ワタナベ式 風呂カラオケの方法

・お風呂に浸かって、好みの昭和歌謡や童謡・唱歌を3曲歌う。
・持ち時間は10分以内。お湯の温度は41℃まで。
・1曲目はいつも同じ定番曲でのどの調子を確かめる。
 あとの2曲は自由に。
・歌い終えたら、ゆっくり立ち上がって浴槽から出る。

これで「浴槽で溺れる」悲劇を防げると思います。