エスカレートする兄弟ゲンカ
そこでお母さんが「あなたは大きいんだから、弟に譲ってあげなさい」と言えば、兄は傷つくと同時に弟に恨みを持つようになります。
また、弟は競争に勝って、兄に対して優越感を感じるようになります。
体の大きい兄はお母さんから見えないところで弟に復讐するのですが、母という味方を手に入れた弟は即座にそれを母に密告し、そこで兄がまた怒られる。
この争いは、日常的にどんどん激化していくことになります。
このような背景から、年の近い兄弟は小学校高学年くらいまで常にケンカすることになりやすいのです。
最近は、そうした事情を汲(く)んで「どうしたの?」と兄と弟の双方に事情を聞くお母さんも多くなりました。これなら、一方的に弟が優先されることなく、平等に扱っていることを子どもたちにわからせることができます。
そうすると、兄も兄でちゃんと自分のおもちゃを手に入れられますし、弟は弟で「お兄ちゃん、僕もそれで遊びたい」とお願いすることができるようになり、仲の良い兄弟になりやすい傾向があります。
とはいえ、第一子は自分より幼い子と一緒に育つため、面倒見がいい兄姉になると同時に、争い事を好まず、誰とでも仲良くなろうとする平和主義的な一面を持つ傾向があります。
自由で奔放な第二子に対して、穏やかで優しい第一子という関係を持つきょうだいも多く、大人になっても「何かあるとお姉ちゃんに頼る弟」や「破天荒な妹の面倒を見る兄」が少なくないのはそのためです。
※本稿は、『兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか』(WAVE出版)の一部を再編集したものです
『兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか』(著:根本裕幸/WAVE出版)
私たちは、成長する過程で、「兄弟姉妹」の関係から強い影響を受けます。
兄姉がいるか、弟妹がいるか、また、何番目に生まれたかによって、その人の人生観や性格がある程度決まってしまう……といっても過言ではありません。本書では、その思考パターンを分類しながら、兄弟姉妹(ひとりっ子、双子含む)との関係が日常生活にどのように影響を及ぼすのかについて解説します。