アイドル映画への出演が辛かった10代

俳優をやめようと思った理由は、10代の自分が抱いていた俳優像と現実とが少々違っていたからです。1980年代はアイドル黄金期でアイドル映画も多く、ティーンエイジャーすなわちアイドルみたいな時代でした。

僕はやっぱり男の子なので、洋画のハードなアクション映画などを観ていて、そういう作品に出たかったんです。(笑)

ところが実際は青春ものの優等生のような役が多く、全然違う方向に行ってしまって。もちろん今は「そういう役も大事な財産だ」と理解していますが、当時はすごく悩んでしまいました。

【撮影:引地信彦】

役者で食べていくのも大変そうだし、学校の仲間と同じように就職して勤め人になることを決めるなら今かな、と考えたんです。でも山崎努さんの演技に対する向き合い方を見るうちに「こういう役者になりたい」と思うようになって、現在に至ります。本当に大きな出会いでした。