ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が再演される。初演を観てファンだったという鶴見辰吾さんが、主人公の父親役として出演することが決まった。本作への意気込み、還暦を迎えた気持ち、芸能界を目指した理由などを伺いました。
(構成◎上田恵子)

18歳の時に俳優をやめようと思った

12歳で俳優としてデビューし、今年12月に還暦を迎えます。今日までこうして俳優の仕事を続けてこられたのは、ひとえに僕を応援し、支えてくれた皆さんのおかげです。頑張っていても、たとえ実力があっても、残っていくのが難しい世界ですからね。本当に自分一人の力ではないと感謝しています。

その時々でたくさんの方々にアドバイスや励ましの言葉をいただきましたが、なかでもかわいがってくださったのが、デビュー当時同じ事務所だった故・鈴木ヒロミツさん。もうとにかく褒めて褒めて、「おまえは最高だ」とか「そのジーパンかっこいいね」といった感じで、いろいろなことを褒めてくれるんです。

ヒロミツさんは、ちょうど今の僕くらいの年齢の時にがんで亡くなったのですが、最後まで好きなことをやり通した人でした。ものすごく恩義を感じている人です。

あともう一人は、武田鉄矢さんですね。ドラマ『3年B組金八先生』のおかげで僕の名前は全国区になりましたし、そこで出会った仲間とはいまだに交流があります。

山崎努さんからも大きな影響を受けました。18歳くらいの時でしたか、僕が俳優をやめようかどうしようか悩んでいた時に山崎さんに出会って。山田太一さん脚本の作品だったのですが、「この仕事を命がけでやっている人がいる。自分もこの道をしっかり進んでいこう」と思わされたのです。