学校がもうひとつあるみたいだった『3年B組金八先生』
そんな僕を見て、そのおばが「どうやらこの子は演劇が好きらしい」と思ったようで、ある日「片平なぎさ主演のテレビドラマで弟役を一般公募しているんだけど、応募してもいい?」と言ってきたんです。僕も親もまさか受かるとは思っていませんから、「別にいいよ」と。
後日「明日ちょっと学校を早退して。テレビ朝日に行くから」と連れて行かれた時も、「片平なぎさに会えるかもよ?」と言われて「それなら行こうかなあ」という感じでした(笑)。親も本気で考えておらず、「テレビ局に行けるんだって」くらいの感覚だったと思います。
10代そこそこで飛び込んだ芸能界では、すごく親切にしてもらいました。皆さん優しくて。特に『3年B組金八先生』の現場は、共演者と世代も一緒でしたし、学校がもうひとつあるみたいな感じでした。本当の学校よりゆるい学校ですね。(笑)
役自体は中学生役ですが、大人に混じってドラマを作る現場にいたので、半分大人扱いされて半分子ども扱いされているようなところがありました。勉強はしなくていいけど、セリフや芝居は仕事としてちゃんとできないといけない。でもそれ以外は割と自由で、学校では味わえない雰囲気を味わいつつ、でも設定は学校という、なんとも不思議な状況が面白かったです。
3年B組の仲間とは、今も交流が続いています。同窓会を予定していたところ武田さんが仕事の都合で来られなくなっちゃって。でもせっかく皆でスケジュールを合わせたのだからと、生徒だけで集まることにしたんです。だいたいクラスの半分、16~17人くらいですかね。
ほとんどの仲間はもう芸能界とは違う仕事に就いて、それぞれの人生を歩んでいます。それでも会うといまだに役名で呼び合って、一気にあの時代に戻るのが楽しくて。こういう絆は、なかなか他の作品では得られないものだと思います。