妻が倒れた日も

結局、人は食べて寝る。

妻が倒れた日も、私はスーパーで安いオージービーフを買って焼いて食べた。そして、仕事と病院と2匹のワンコの世話で、毎日倒れるように寝ていた。

『妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』(著:ぺこりーの/大和書房)

3カ月間、集中治療室にいた妻の見舞いのため、とにかく会社と病院と自宅を移動し続ける毎日。私も体重が減り、疲労で自分も倒れるかもしれないと思った。

もう年齢も60歳になろうとしていたから、体力は限界だったのだろう。

そんな私を心配して、娘がご飯を作って書き置きを残してくれたことがあった。冷蔵庫にあった牛肉と長いもで作ってくれた煮物。これがやけにうまかった。