なんとか生きていた

この頃はたいして料理などしたことはなかったはず。当時、娘は彼氏と同棲していたので、別に暮らしていた。

私の自宅は、娘が同棲している家からはまったく正反対の方向だったが、それでも仕事帰りに家に来て、食事の支度までしてくれたことが本当にありがたかった。その日の酒は心に染みた。

その時に娘が残してくれたメモ。その日のメモ書きも、なんと写真におさめていた!

(写真:『妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』より)

妻が入院している病院から自宅に帰る時は、毎日、高田馬場で電車を乗り換えていた。高田馬場の安い海鮮居酒屋で、よく日替わりの刺身をつまみに酒を飲んで帰った。

妻が入院していた3カ月間は、そのお店の料理を食べて、私はなんとか生きていたような気がする。