悲しくても……腹は減る

そして3カ月が経ち、妻は天国へ旅立ってしまった。

妻の葬式の日も、友人たちと仕出しの料理を食べながらみんなで飲んだ。葬式の翌日は、娘に朝食を作ってあげた。妻がいなくなった部屋で、ふたりでトーストとハムエッグを食べながら泣いた。

でも食べる。そして寝た。

残された2匹のワンコ、らんまるとゆいまるの食事も欠かせない。この子たちも、私が食事を作らなければ自分たちで食べることはできない。

一番かわいがってくれた飼い主が急に消えてしまい、2匹のワンコたちも相当なストレスだったと思う。しかしこの子たちもまた、食べて寝ることで生きていた。

妻が亡くなって、7年が経った。

今では私も料理を楽しめるようになった。妻が教えてくれた料理はひと通り作れるようになったし、新しいレパートリーもだいぶ増えた。

ありふれた毎日に特別な幸せはいらない。ただ食べて寝るだけで幸せなのだから。

一日三回食べて、三回幸せな気分になる。そして、今日という日に感謝しつつ寝る。一日の終わりにも幸せが待っている。最高か!!

※本稿は、『妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』(大和書房)の一部を再編集したものです。


妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』(著:ぺこりーの/大和書房)

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