人生の楽園

テレビ朝日で毎週土曜日に放映されている「人生の楽園」という番組をご存知だろうか。

もう20年も続く長寿番組だが、妻が生きている時にはふたりでこの番組をよく見ていた。老後にこんな生活ができたらいいねと、ふたりでビールを飲みながら話したこともある。

(写真:『妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人ひとり愉快に暮らす』より)

妻が亡くなってからも、ひとりでこの番組は見ているし、先週もジンを飲みながらちゃんと見た。

この番組は、リタイアされたご夫婦が次の夢に向かってスタートするというのがテーマであるから、みんな人生の第二幕のスタートラインに立ったばかりという方が多い。だから出演者のみなさんは意気揚々(いきようよう)としているし、何しろ次の目標があるから気持ちも充実していらっしゃる。

そういうご夫婦を見ると、テレビのこちら側から見ている私たちも、なんだか新鮮な気持ちになるから人気の番組だと思う。

退職金や老後の貯金まではたいて、田舎でカフェを経営したり、移住して農業を始めたりというのがもっとも多いパターンだ。

年下の若い上司にこき使われてパートをやっているより、こんなリタイア生活を送ってみたい。田舎の素敵なカフェで、毎日美味しいコーヒーを淹れて、お客様と一日中おしゃべりしていたい。シニアなら、誰でもこんなふうに思うのではないだろうか。

そりゃそうだ。私だって似合わないクールビズの服を着ているより、ワークマンのオーバーオールと麦わら帽子をかぶっているほうがよほど楽だ。