(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
浅く速い呼吸によって、体に必要な空気を取り込めていない人は多いそう。心身の老化を食い止める、《良い呼吸》を手に入れる方法を伝授します(構成◎村瀬素子 イラスト◎こやまもえ)

呼吸機能低下と免疫力

「早歩きをすると息が切れる」「なんとなく息苦しい」といった自覚症状がある人は、呼吸機能が低下しているかもしれません。

肺は風船のようなやわらかい臓器で、首、肩、胸、腹など肺のまわりに集まる「呼吸筋」と呼ばれる筋肉群の収縮運動によって膨らんだり縮んだりし、空気を出し入れしています。しかし、30代から筋肉の柔軟性が低下し始めるため、少しずつ収縮運動がうまく行えなくなっていくのです。すると、肺の「機能的残気量」が増えていきます。

機能的残気量とは、普段の呼吸で息を吐いたときに肺に残っている空気のこと。肺が潰れないように少量の残気は必要ですが、余分に残っていると、新たな空気を取り込むスペースが狭くなり、十分な量を取り込めません。すると、浅くて速い呼吸になり、息苦しさを感じたりして、ますます呼吸の効率が悪くなります。

このように、放っておけば呼吸の機能は衰える一方。空気の出し入れがうまくいかない状態が続くと、全身に空気を巡らせることができず、疲れやすい、免疫力が低下する、臓器の働きが悪くなるなどの不調に繋がってしまうのです。