2008年、オーストラリアのアーネムランドで。「GOMA」のアーティスト名で、本格的に音楽活動を始める

そんな時アボリジニの友人に、ダーウィンから500キロほど離れた彼の故郷へ行こうと誘われたのです。ディジュリドゥの聖地であるアーネムランドというその地では、ビーチに寝泊まりしながら、楽器の材料集めを手伝ったり、演奏を習ったりして。

ディジュリドゥは、白アリが芯を食べて空洞になったユーカリの木を使って作るのですが、気温が40℃を超えるなか、切ったユーカリを束ねて担いで運ぶのはきつかった。(笑)

2~3ヵ月の滞在中、アーネムランドで開かれるディジュリドゥのコンペティションに出てみないかと声をかけられまして。出場者の9割がアボリジニというなかで、なんと僕が準優勝。外国人としては初受賞だったようで、みんな驚いていましたね。

オーストラリアに1年ほど滞在した後は、妻と渡英。イギリスの音楽が好きだったということもあるけれど、オーストラリアがイギリスの植民地だったので歴史的なことも知りたかったし、ヨーロッパではディジュリドゥの認知度が高く、音楽活動の足掛かりになるだろうと思ったのです。

ちょうどこの頃、ジャミロクワイというミュージシャンが楽曲にディジュリドゥを取り入れたことで、世界的に知られる楽器になりました。2002年に帰国した時には、時代の後押しもあり、野外フェスに呼ばれたり、自分の音楽レーベルを作って全国ツアーをしたり。こうして音楽活動で生活できるようになっていったのです。