事故から15年経つ今も、脳の損傷部分に電気が流れ、痙攣を起こすことで意識を失って、静止状態になったり、倒れたりすることがあります。ステージ上で発作に見舞われたこともあるのですが、回復にかかる時間は、短い時で10分、15分。時には1週間くらいかかることも。
そうして意識が戻る時、必ずひかりの中を通ってこっちの世界に帰ってくるんです。脳の研究をしている方に聞くと、臨死体験をした人は性別や人種に関係なく、このひかりの話をする人が多いのだとか。
最初はただ点を打っているだけで、絵とは言えないものでした。でもきっと、消えていってしまう記憶の代わりに何かを残そうと、無意識に行っていたのでしょうね。
今は、奥のほうは真っ白な強いひかりで、こっちの世界に近づくにつれてだんだんと色がついてくる、そんな、意識が戻る時に僕が見ている《ひかりの世界》を残しておきたいという気持ちで描いています。これは、この脳を持つ僕だけが描ける世界ですから。