肉の摂取量が多い国から寿命が延び出した

日本人には<粗食信仰>なるものが根付いているようです。
例えば「仙人を思い浮かべてください」と言われたら、どんなイメージを描きますか?

おそらく「白いあごひげを生やし、よれよれの着物を纏(まと)い、杖を突いた、痩せた老人」といった感じでしょうか。

不思議ですが、そんな回答が多いのです。
これも日本人に<粗食信仰>があるからだと思います。

「我慢は美徳」と か「武士は食わねど高楊枝(たかようじ)」といった言葉に共鳴する人が多いのも、同じ理由からでしょう。

実生活で植物性たんぱく質を好むのも、やはり同じような理由があるのかもしれません
自然の恵みに感謝し、みんなでそれを分け合っていただく。

もちろんとても素晴らしいことなのですが、ともすれば日本人の平均寿命を抑えていたことも事実です。

【図】は、1890年当時の食肉消費量の調査データです。

「コレステロールは下げるな」本文より

1年間にどれだけの肉を食べたかを示すもので、日本人の消費量がケタ外れに少ないことがわかります。

オーストラリアは111・6kg。
これは1日当たり306gになります。
日本人は3kgですから、1日当たり8g。
その差は歴然です。

そしてこの頃、1890年当時に、世界で初めてオーストラリアの平均寿命が50歳を超えました。

続いて、肉の消費量の多い国から、寿命が延びていったのです。
以上の事実からも、「肉を食べると長生きする」ということがわかります。

ちなみに、当時の日本の平均寿命は30歳でした。
50歳を超えたのは1947年になってからです。
世界からは50年以上遅れました。

そしてこの頃、1890年当時に、世界で初めてオーストラリアの平均寿命が50歳を超えました。

驚くかもしれませんが、今では<世界一の長寿国>として知られる日本は、つい75年前までは50歳まで生きられない<短命国>だったのです。

※本稿は『コレステロールは下げるな』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


コレステロールは下げるな』(著:和田秀樹/幻冬舎)

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【目次抜粋】 
第1章 コレステロールは下げなくていい
・コレステロールは食事では増えません。
 だから気にするだけムダです
・コレステロールを摂ると血管が丈夫になる
第2章 痩せる“やせ我慢”は寿命を縮める
・肉の摂取量が多い国から寿命が延び出した
・なぜ年を取るほどコレステロールが必要なのか
第3章 脂肪があなたを強く美しくする
・内臓脂肪は悪とは限らない。免疫細胞も作られる
・油を抜くのは危険。体がカサカサになりますよ

第4章 薬と医者まかせはやめましょう
・怖さも伴う脂質低下薬。
それでもあなたは飲みますか?
・大学病院に総合診療科・老人科をつくりたい
第5章 健康寿命がのびる食事学 
・私がラーメンを食べるのは総合栄養食だからです
・食が細ってきた人にはスイーツやマヨネーズも強い味方
・コレステロールが不足すると幸せホルモンが脳に届かない

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低栄養で飢餓状態になる……