祖父母世代にできること
そんなわけで、今からの子育てには、「子どもの気持ちに寄り添い、その言動にイラつかない子育て役」が不可欠ってことになるわけだけど、親たちにそれを求めるのは、かなり難しい。
実は、人類の生殖の大いなる仕組みによって、親たちの脳は、子どもに冷静になれないのである。
というわけで、私たち祖父母の登場である。生殖本能の働かない私たちだからこそ、できることがある。
孫の親たちをうまくリラックスさせて、孫の気持ちに寄り添い、孫の脳に一生ものの自己肯定感を構築してやること。
親たちよりもおおらかに、ときに孫のいたずらを一緒に楽しむくらいのユーモアを。
幼い孫にはもとより、成人した孫にだってそうしてあげたい。孫たちが、いつだって、人生を信じられるように。
よくよく考えてみれば、これまでだって、祖父母たちは、多かれ少なかれそうしてきたのである。
この世のあまたの動物の中で、人類だけが、生殖能力を失ってなお50年も生きる。それは、祖父母世代が、人類の子育ての一翼を担っているからである。
本当は、孫を持たない人もこの記事を読んでほしい。バスや電車で見かけた子連れの親たちに、優しい目線を向けてあげてほしいから。
親が世間を信じることができたら、子どもは世界を信じることができる。
AI時代、人類の役割は、無邪気な発想に集約してくる。
2050年の日本のために、この国にもっと無邪気さを――私は、願うように、そう思う。
※本稿は、『孫のトリセツ』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『孫のトリセツ』(著:黒川伊保子/扶桑社)
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