糖尿病食を電子レンジで
1989年、私は公立大学法人福岡女子大学に非常勤講師の職を得ました。
私が受け持つ病態栄養指導講座は、糖尿病の予防・改善がテーマ。
病院食、治療食といっても特別なものではありません。
元を正せば家庭の食事です。
当時の糖尿病の治療食は、エネルギーは1200キロカロリーと極端なものがありました。
私は1600キロカロリーに設定し、その他の栄養素は過不足なしの摂取に。
これさえ守れば、和、洋、中華、エスニック風。
どの料理を食べてもよいのです。
患者さん用には家庭で1人分だけ調理すればよいのです。
ここでピン!ときました。
私が20年以上取り組んできた電子レンジの調理がぴったりなのです。
電子レンジはゆでる、蒸す、煮る、煮込む、焼く、ソテー、揚げるなどの調理が油控えめでもおいしくできます。
フライパンや中華鍋を使った料理に比べれば、油の使用量は5分の1程度。
レンジ料理は食材の持つ水分+調味料で仕上げますから、鍋でゆでる、蒸す、煮る調理と比べると栄養成分が多く残ります。
調味料は通常の3分の2ですみます。
あるテレビ番組の依頼で、食材も調味料も同じ条件の「肉じゃが」を電子レンジと鍋で作って、食品分析センターに依頼したことがあります。
電子レンジで作った「肉じゃが」は鍋の「肉じゃが」より、アミノ酸もビタミンも30パーセント多く残っていました。
家庭なら、家族分の食材をすべて切り揃え、患者さん用の1人分だけ耐熱ボウル(または耐熱皿)を使って電子レンジで調理することが可能です。
使う道具は耐熱用食器だけ。
後片付けも楽チン。