誰のためにでもなく自分が野球を好きだから

そういえばこの前、大阪でお墓参りをしたときに義母から話を聞いた。

夫は小2で野球を始めた。だが実は1歳を過ぎて歩き始めたあたりから、新聞紙を丸めたボールとおもちゃのバットでなぜか奇跡的に確実に打ち返す遊びを、仕事で疲れて帰ってくる父親相手に毎日延々とやっていたそうだ。

小2の時から電車で1時間半かけて1人でグラウンドに通った。チームで上の学年に混じって野球をすると必ずいじめられた。中学、高校の時も…今とはまるで時代が違う。

歩き始めた頃の元木さん。この頃からすでに名打者の片鱗を見せていたという

私が彼を知っているのはプロに入って10年になる頃からだ。
実は私と結婚した年にジャイアンツが日本一になったあと、現役としては徐々に厳しい立場に追いやられ、二軍でプレーすることも多くなっていた。

ある時夫に尋ねたことがある。

「野球、辞めたいと思ったことはなかった?」

その時夫ははっきりと答えた。

「1回もない」

野球が好きだというのは、こういうことだと私は思った。
現役中かなり厳しい状況に見舞われることもあったが、それでも一度も辞めたいと思わなかったのか。理屈ではなく、どんなことがあっても野球をやめる理由にはならなかったということだ。

誰のためにでもなく、自分が、野球が大好きだからどこまでも頑張れるんだな。

もしそういうものを息子達がそれぞれ持っているのなら、それが野球でないとしても、私は親として全力で応援したいと思っている。
…って、聞こえは美しいんだが、親にとってそれがどれだけ難しいことか。

ですよね?