人間関係は近すぎず遠すぎずがいちばんいい

電話といえば、昔、私に何くれとなくツンケンしてきた同僚が、ある時期からよく電話をしてくるようになりました。

こう言っては失礼ですが、キツい性格の人だったので、あまりお付き合いしてくれる人がいなかったようなのです。

(写真提供:Photo AC)

電話で話した感じから、どうも認知症になっているらしく、そのため私を毛嫌いしていたことを忘れていたのかもしれません。

いつものごとく、相手が満足するまで、うんうんと話を聞くようにしていました。

あるとき、その人が入院していると聞いたので、お見舞いに行ったところ、娘さんから「母がいつもお電話していたようですみませんでした」と言われました。

するとその人が「私、電話したことなんか一度もないから!」と言うのです。このときばかりは、「あんなに電話してきて同じ話をしていたのに……」とガクッときました。

そんなふうに来るもの拒まずで受け入れるので、よく他の人から「そんなに誰にでも愛想をよくしているのに、付け込まれないのが不思議だね」とも言われます。

ある人から「堀野さんは誰でも受け入れるけれども、きちんと線引きをしているんだよね。だからとても親切だけど、相手が『この人なら付け込んでもいいかな』と思ってしまうようにはならない。天性の付き合い上手だね」と言われ、「なるほど、そうなんだ」と思いました。