(写真提供:Photo AC)
60年以上愛される『小さな恋のものがたり』や、明るくにぎやかなファミリー漫画『ハーイあっこです』など、今も多くのファンを魅了する漫画家・みつはしちかこさん。83歳になり、家族のことを思い出しながら、ひとり暮らしを楽しんでいます。今回は、みつはしさんの新著『こんにちは! ひとり暮らし』から、心あたたまるエッセイの一部をお届けします。

おばあさんってだあれ? もしかしてわたし?

元気で忙しい義姉が、こないだ見た光景を話します。

「バスに乗って前を見たら、ずらっとおばあさんとおじいさんが並んでるのよ。ンマー、この世の中どーなっちゃってるの?」と、困ったような笑顔の義姉。

この人もゆうに80歳を越えているのですが、自分は老人とは別の人間と思っているらしい。

そういうわたしも、新聞記事などで「80ン歳の**さん」と書いてあるのを見て、“あー、80ン歳のおばあさんか”と、自分のことを忘れて思っちゃうのです。

友だちとの電話の最後には、必ず「おたがい転ばないようにね」と言い合っています。

わたしぐらいの年代にとって“転ぶ”ということは一大事なのですよ。

気をつけていても、万一転びそうになったら、上手に転びましょう。