ダイニングからは、葉山の山の稜線が見える

洋服を買うのは4、5年に1度くらいでしょうか。気に入ったものしか買わないので、30年近く着ているものもあります。ファッションは大好きですが、シャツとジーンズが何着かあれば、毎日洗濯して着るので十分です。

娘と私用に2台あった車は1台を手放し、今は娘の車をときどき借りています。基本はどこへ行くのも徒歩。2時間くらい歩くのも平気です。毎日、犬の散歩に行きますし、ゴミ出しは坂の下まで行かなければいけません。足腰が鍛えられて健康になるので、お金がないのも悪くないものです。

「病気をしたらどうするの?」と聞かれることもありますが、少ないながらも医療保険に入っていますので、何かあればその範囲で、と子どもたちにお願いしています。今は、体調が悪くなれば庭のハーブを煎じて飲むだけ。2日も寝ていれば元気になりますから。化粧水もハーブを使って自分で作っています。

あるとき、友人が指の関節が痛むへバーデン結節で病院通いをしているという話になりました。「どんな治療をするの?」と聞くと、しばらくお湯に手を浸けるのだといいます。これは笑い話ですが、それだけなら家の洗面所で十分ですよね。

私が優先的にお金を使うのは、この場所で暮らすための費用です。家や庭の手入れにかかるお金は必要経費。自分でできることはして、どうしても難しい場合のみ業者さんにお願いします。

たとえば、こんな1日が私の日常です。庭のハーブやレモンの木の世話をしたあと、おやつ用のドーナツを生地からこねて、発酵させている間に掃除機をかける。そのあとシャワーを浴び、ドーナツを揚げて一人コーヒータイム。お金はかかっていませんが、豊かな時間です。

ケータリングの仕事が入れば、娘と調理。そんな生活が、きっと優雅で素敵な暮らしに見えるのかもしれません。でも、お金がないからそうやって暮らしてきただけなんですよ。

自然に囲まれて、知恵を使って暮らすことが私の楽しみであり、幸せ。ここでの暮らしは豊かで、お金がたくさんなくても安心できます。だからあれこれと贅沢する必要はないのです。