さらに進化したピエロ

さて、ピエロはさらに進化し続けた。

衣装は再びカラフルになり、白塗りの顔の目や口の周りにも赤だの青だの色がほどこされ、元の顔が隠されるようになった。

そして1970年代、アメリカに連続殺人犯ジョン・ゲイシーが現れる。

彼はふだんは温厚な実業家、休みの日はピエロ姿で子供たちを喜ばせていた。

犯行が明るみに出て、彼をモデルにS・キングがホラー小説『IT』を書き大ベストセラーになり、テレビ化も映画化もされると、ピエロを怖がる者が激増して今に至っている。

 

※本稿は、『カラー版-西洋絵画のお約束-謎を解く50のキーワード』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


カラー版-西洋絵画のお約束-謎を解く50のキーワード』(著:中野京子/中央公論新社)

ちょっとした知識があれば、隠された画家からのメッセージを探りあてることができる。

「見て・感じる」だけではわからない、絵を読み解く手がかりをテーマ別に解説。

この本を読めば、鑑賞体験はもっと豊かなものになる。