睡眠障害が引き起こす影響

では、ヒトにおいても腸内マイクロバイオータは日内変動するのでしょうか?

解析の結果、腸管内に存在するバクテロイデス門パラバクテロイデス属の細菌が昼間(ヒトでは活動期)に増加し、夜間(ヒトでは休息期)に減少していました。

(写真提供:Photo AC)

一方、ファーミキューテス門ラクノスピラ科の細菌が日中に減少し、夜間に増加するという変動が見られました。

つまり、菌の種類は異なりますが、ヒトにおいても、マウスで観察されたように腸内マイクロバイオータは日内変動していて、また腸内代謝物も日内変動していたのです。

ヒトで睡眠障害を引き起こすと、腸内マイクロバイオータの組成にどのような影響が起こるのでしょうか。

まず、8時間程度飛行機で移動してもらうことで、ヒトの睡眠障害(つまり“時差ボケ”)を引き起こします。

飛行機に搭乗する前日、搭乗1日後、搭乗2週間後の糞便を回収し、腸内マイクロバイオータの組成が解析されました。