平田さんにとって、つかこうへいの芝居の魅力とはどういうところにあるのだろう。
――つかさんの芝居は僕たち当時の若者にとって身近な言葉で書かれていたし、稽古も口立てってこともあって、常に変わってて面白かったし、発想とかも僕らに想像もつかないようなことが多かったし、そこが魅力ですね。恥ずかしがり屋の僕を、実際の公演に押し出してくださったのもつかさんだし、ありがたい存在です。
僕は、お客さんと舞台に出る人間って、敵味方とは言わないまでも、絶対に仲良くなれるものじゃないと思ってたんですよ。常に批評されてるような、針の筵(むしろ)みたいに思っていたんです。
でもある時、つかさんの作品ですから随所に笑いがあるような芝居で、僕が一生懸命、ムキになって台詞言ってるのをお客さんが笑ってくれたんです。
18、9の頃の、自分を守ろうとする鎧みたいなものが、そこでちょっと取れたような気がしました。それもこれも、つかさんの芝居だったからだと思いますね。