夏休みに豊橋に帰った平田さんは、座長に退団願いの手紙を出す。第1の転機に近づきそう。

――残暑見舞いがてら、「どうも自分には向いてないようなので、すみませんが辞めます」ってね。そうしたら、「今度面白い人と芝居をするから是非それに参加しなさい」と返事が来ました。

秋になって劇団に戻ると、そこにやって来たのが、つかこうへいさん。そこで、つかさんがオーディションみたいなことをやるんです。その時はつかさんも本当に若くて、僕より五つ上くらい。

オーディションのやり方は、「おい、出ろ」って言って何かやらせて、面白くないと「次、出ろ」って感じ。

そういう方法で僕は二軍みたいにして入って、出演しないはずだったんですけど、何かの拍子に出ることになって。