公式戦の前の緊張感や不安、願い、思い

ある日夫から、意外なことを打ち明けられた。

「瑛介が、お母さんが大会のことを心配してゴチャゴチャ言ってくるの、あれすごくやめてほしいって。わかってるのに、って…」と。
ガガン、と衝撃を受けた。
「親の心子知らず」とはまさにこのこと。親になって初めて使ったこの言葉。あー、使っちゃったー!

しかし考えてみれば、試合に出る本人が一番ナーバスになってるはずだ。
そんな本人に向かってあらためて「だよね?だよね?」と母から責め立てられてはたまったものではないだろう。

母親でさえこうなのだ、「俺の分身」にブンブン期待を膨らませた父親までダブルでプレッシャーをかけてしまっては、息子も野球に集中するどころではなかろうて。

誰よりも選手「本人」が一番強い希望と覚悟をもって、心と体の準備を整えようとしている。…はず。いや整えていて欲しい。整えてるよね?おい息子。

何度経験しても公式戦の前の緊張感や不安、願い、思いがグルグル巡って落ち着かないあの感覚、親でさえ今も慣れることはない。

体調が少しでも悪くて後ろ向きにしか考えられない状態では、このモヤモヤソワソワした感覚にいつのまにか「自分自身」が踏み潰されてしまいそうだ。